北条早雲の少年期

を描く、「新九郎、奔る!」(ゆうきまさみ・作)が、面白い!
素性の知れない風来坊から成り上がって、関東の覇権を盗った戦国武将の先駆けと言われていた北条早雲。様々な出自説がある中、近年の研究で備中荏原を所領とする伊勢氏の出身が最も有力となっている。享年に関しては長らく88歳といわれていたが、これも64歳だったとほぼ特定されているようだ。


単行本は3巻出ていて、現在週刊ビッグコックスピリッツに「荏原編」連載中。永井豪の「北条早雲」は88歳説で描かれている。

少年期が謎に包まれていることも確かで、そこには作家の創作の余地が豊富にあろうというもの。
荏原郷高越城下で成長する少年期が描かれた作品に、伊東潤「黎明に起つ」南原幹雄「謀将北条早雲」富樫倫太郎「北条早雲」などがある。小田川の魚取りや笠岡のおしぐらんご参戦、村の娘達を拐かした野党の一団を成敗、法泉寺で熱心に学問に励むなど、荏原荘の風景の中で様々なエピソードが展開されている。いずれも、備中荏原荘でたくましく幼少期を過ごし、やがて京へ上って行くというもの。
「新九郎、奔る!」はそこがちょっと違う。それ故、これから始まる「荏原編」が気になる。